家は25坪で十分? 秋田で「大きさより質」の家を考える

「4人家族なら、30坪以上は必要ですよね?」

家づくりの相談をしていると、そんな話になることがあります。

実際、最初は32坪、34坪くらいをイメージして来られる方も多いです。

でも私は、きちんと設計すれば25坪くらいでも十分に豊かに暮らせると思っています。

新潟で「小さい家」を設計されている、ネイティブディメンションズ一級建築士事務所の鈴木さんの自邸は、総2階で18坪。

あの家を見ると、「ここまで小さくても、こんなに豊かに暮らせるんだよな」と思います。

もちろん、ただ面積を削ればいいわけではありません。

私が考えているのは、

小さく安く建てる家ではなく、小さくても質を落とさない家。

今回は、なぜこれからの家は「大きさより質」だと思っているのかを書いてみます。

家族の人数は、ずっと同じではない

家づくりでは、どうしても今の家族構成を基準に間取りを考えます。

でも、夫婦2人で建てて、将来の子供を想定している方もいます。

逆に、子供を持つ予定がなくても、その後家族構成が変わることだってあります。

子供が生まれる。

成長して個室が必要になる。

やがて家を出る。

夫婦2人になり、その先は1人になるかもしれない。

そして最後には、その家を誰かが相続します。

20年、30年先の家族構成を、家を建てる時点で正確に予測することなんてできません。

だから私は、「今、何人だから何部屋」と間取りを固定しすぎない方がいいと思っています。

家族が変わるなら、家も使い方を変えられる方がいい。

例えば、子供部屋は将来書斎にする。

最初は夫婦の寝室として使い、子供が個室を欲しがったら譲る。

屋根裏やロフトは、独立した子供や孫が泊まりに来た時に使う。

部屋の名前を決めすぎない。

それだけでも、必要な家の大きさはかなり変わります。

15坪や18坪でも、ちゃんと暮らせる

実際にSKホームでも、年配のお客様に15坪、18坪ほどの平屋を建てたことがあります。

普段暮らすのはご夫婦。

大きな家は必要ありません。

でも、子供や孫が泊まりに来ることはある。

そこで、年に数回のために客間を一部屋つくるのではなく、ロフトを使えるようにしました。

普段はコンパクトに暮らして、必要な時だけ別の使い方をする。

私は、こういう考え方がすごく合理的だと思っています。

年に数回しか使わない場所のために、365日分の床面積をつくる必要はありません。

一つの場所に、いくつもの役割を持たせる

小さい家では、

廊下は廊下。

客間は客間。

ホールはホール。

リビングはリビング。

と、一つの場所に一つの役割しか与えないと、すぐに面積が足りなくなります。

LDKは家族が過ごす場所ですが、通路でもいい。

ホールでもいい。

子供が勉強する場所にもなるし、人が来れば客間にもなる。

私は、家の中のすべての場所に、長く何かしらの意味を持たせたいと思っています。

だから廊下や客間は、ほぼ必要ないと思っています。

2階トイレも同じです。

わが家は4人家族でトイレ一つでしたが、特に困りませんでした。

「臭い」「早く出て」なんていうのも、今思えば家族のコミュニケーションです(笑)。

もちろん必要な家庭もあります。

でも「普通は付けるから」ではなく、自分たちに本当に必要なのかで考える。

2階トイレの1畳を使うなら、私は1畳の小さな書斎の方が欲しいです。

小さい家だからこそ、窓を削らない

高性能住宅を勉強していくと、UA値などの数字が気になってきます。

そして、性能を求めた時に真っ先に削られやすいのが窓です。

確かに窓は壁より熱が逃げやすい。

窓を減らして小さくすれば、UA値は簡単に良くなります。

でも私は、数字を良くするために窓を削るのは、完全に順番が逆だと思っています。

今の時期、事務所ではよく窓を開けています。

近くの中学校から、部活をしている声が聞こえる。

合唱コンクールの練習をしている歌声が聞こえる。

この季節は、それが本当に楽しいんです。

窓から入ってくるのは、光だけではありません。

風も、音も、匂いも、景色も、季節の気配も入ってきます。

UA値を0.01、0.02良くするために、そういうものを全部失って、本当にいい家になったのか。

私は疑問です。

大事なのは窓を減らすことではなく、

どこに窓をつくるのか。

そこから何が見えるのか。

視線がどこまで抜けるのか。

冬の日射をどう取り込み、夏の日射をどう遮るのか。

そこまで考えることです。

高性能住宅は、窓を小さくした箱ではありません。

大きな窓があっても、高性能な窓を使い、断熱・気密をきちんと施工し、日射や空調まで考える。

その上で、景色や光や風を諦めない。

それが設計だと思っています。

※断熱・気密・耐震など住宅性能については、
「秋田県で暖かい家を建てるには|高性能住宅会社を見分ける7つの基準」もご覧ください。

予算が足りなくても、性能は落とさない

最初は、

「32坪くらい欲しい」

「34坪くらいかな」

と話していたお客様が、最終的に28坪や26坪になることは珍しくありません。

感覚的には、2組に1組くらいは最初の想定より小さくなります。

無理に小さくしているわけではありません。

「この部屋、本当に必要ですか?」

「別の場所と兼用できませんか?」

「10年後、この部屋は何に使いますか?」

そんな話をしていくと、自然と小さくなっていきます。

そしてSKホームでは、予算が合わないからといって、

窓の性能を落とす。

断熱を減らす。

気密を曖昧にする。

耐震性能を下げる。

素材を安価なものに変える。

そういう予算調整は絶対にしません。

窓。

素材。

断熱・気密。

耐震。

家を建てた後から簡単に変えられない部分を削ってまで、坪数を確保する意味が私には分かりません。

性能を落とした35坪と、質を残した28坪なら、迷わず28坪です。

小さい家ほど、設計力が必要になる

25坪の家は、35坪の家より簡単につくれるわけではありません。

むしろ難しいと思います。

35坪なら多少廊下が長くても、余計な収納があっても何とかなります。

25坪では、1畳の無駄が大きい。

窓。

視線の抜け。

家具。

収納。

動線。

天井の高さ。

日射。

断熱・気密。

空調。

全部を重ねて考えないと、ただの狭い家になります。

特に、窓の先まで視線が抜けることや、家全体の温熱環境が整っていて、どこでも居場所として使えることは、小さい家ではとても重要です。

「小さい家」と「小さく設計された家」は、まったく違います。

大きさより、質

25坪がすべての家族に正解だとは思っていません。

30坪必要な家庭も、それ以上必要な暮らしもあります。

ただ、

「4人家族だから32坪」

「子供が2人だから個室が2つ」

「家だから客間が必要」

と、最初から決める必要もありません。

大切なのは、何坪欲しいかではなく、

そこでどんな暮らしをしたいのか。

そして10年後、20年後、家族が変わった時にも、その家をどう使えるのか。

家を少し小さくして、

気持ちのいい窓をつくる。

好きな素材を使う。

断熱と気密をきちんとする。

地震に強くする。

冬に暖かく、夏に涼しくする。

私は、そんな家の方が豊かだと思っています。

大きさより、質。

小さいから我慢するのではなく、小さいからこそ、ちゃんとつくる。

「30坪以上必要だと思っていたけれど、本当にそうなのかな?」

そんな方は、土地も間取りも決まっていなくて大丈夫です。

まずは一度、事務所でお話ししましょう。

何坪建てるかを決める前に、これからどんな暮らしをしたいのか。

そこから一緒に整理してみると、本当に必要な家の大きさは意外と変わるかもしれません。

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